令和3年度兵庫県当初予算案~「ポストコロナ社会へのスタート予算」

 兵庫県は2月16日、令和3年度(2021年度)当初予算案を発表した。総額は前年度を6,519億円上回る4兆6,068億円となり、過去最大規模となった。これは、新型コロナウイルス感染症の影響による経済的影響の長期化が懸念されることを踏まえ、融資目標8,000億円を確保したことなどにより、中小企業制度資金貸付金の7,126億円の増などで、一般会計が過去最大2兆7,304億円になったことなどによるもの。中小企業制度資金貸付金を除いた一般会計の予算規模は、前年度を222億円上回る1兆7,755億円と対前年比1.3%増のほぼ同額となっている。
 令和3年度当初予算は、次の基本方針に基づき編成された。
〈予算編成の基本方針〉
Ⅰ 新型コロナウイルス感染症への適切な対応
Ⅱ ポストコロナに向けた兵庫の活力創造
Ⅲ 新たな兵庫への道筋
 一般会計の歳入では、県税等が新型コロナの影響による企業業績の悪化や民間消費の低下を反映し、前年度を約1割(919億円)下回る7,647億円を見込んだ。このため、歳入面では地方財政制度において発行が認められている資金手当のための地方債の活用、歳出面ではシーリング(予算の要求基準)の強化、新規事業枠の削減などの減収対策で不足分を埋めた。
 井戸知事は県議会などで、令和3年度は約2000億円税収減になるとの試算を述べていたが、3年度予算では約1000億円の税収減と見込んだ。井戸知事は予算発表の会見で「結果として、税収の落ち込みがリーマンショック直後よりも大きくはならず、1000億円ほどで踏みとどまってくれた」とし、「我々が強く要請した留保財源対策などにも配慮した国の地方財政計画上の対応があって、辛うじて予算が組めた、という状態。ただし、これは1年限り、1年しのぎ」と語った。 
さらに、「今回、財政フレームを試算し直したところ、令和4年度から令和9年度までに、累計330億円の財源不足額が発生する。これは毎年の予算編成を通じた財政対策で埋めていく作業になる。令和10年度には、何とかゼロになるのではないか、と見込んでいる」と、令和3年度は、行財政運営の枠組みについて、3年目の見直し作業を行う方針を示した。
 また、井戸知事は「ポストコロナ社会へのスタート予算」と命名。今年7月末の任期いっぱいで退任を表明しているが、「最後の予算ということよりは、今の課題の解決と、厳しい財政状況をどのように打開するか、ということが、今回の予算編成の中心事項。そのことに専心した。ただし、できるだけ将来への橋渡しができるように、それを念頭に置きながら予算編成をした」と思いを述べた。
 また、令和2年度2月補正予算案(総額約2,279億円)もあわせて発表。国の令和2年度第3次補正予算(1月28日成立)を活用して、緊急の医療提供体制の確保など新型コロナ拡大防止対策の強化、ポストコロナ社会を見据えた地域経済の活性化・地域の元気づくり対策を推進する。さらに、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を活用して、激甚化する風水害、切迫する巨大地震等への備えなどに取り組む。
 2月補正と3年度当初予算をあわせた14カ月予算として、普通建設事業費の総額は、前年度と同規模の2,630億円を計上した。
 3年度当初予算案と2月補正予算案は、2月17日に開会した第353回定例県議会に上程された。補正予算は事業効果を早期に発現させるため同日可決。当初予算は予算特別委員会で集中審議される。