• 第1回「兵庫県特殊詐欺集中対策本部会議」を開催  兵庫県は、特殊詐欺被害が年間最悪のペースで増えている現状を踏まえ、県警とともに対策の強化を全庁横断的に検討・実施するため、新たに「兵庫県特殊詐欺集中対策本部」を設置した。第1回本部会議が11月29日午前、県庁で開かれ、本部長の齋藤元彦知事は「これまでにない規模の異次元の対策を一丸となって進めていく」と被害ゼロに向けての意欲を語った。
     第1回本部会議には本部長の知事をはじめ、副本部長の村井紀之警察本部長、片山安孝、服部洋平両副知事、本部員の関係部長らが出席した。開会あいさつで齋藤知事は、「特殊詐欺の被害は過去最悪のペース。特殊詐欺は高齢者の被害が8割。財産のみならず心も奪ってしまう。許すことができない。命と暮らしを守ることが不可欠。エビデンス(科学的根拠)に基づく対策をスピード感をもって取り組むことが大切」と述べ、12月補正予算を編成し、被害防止に効果がある自動録音機能付電話機の補助など総額15億円の規模で実施する考えを示し、「思い切った対策を講じる。一丸となって今年度、来年度と集中的に進めていく」と訴えた。
     続いて特殊詐欺の被害状況などが報告された。兵庫県内の認知件数は令和4年1074件、被害額は19.1億円(全国ワースト7位)で最悪のペースで増加しており、令和5年の認知件数は10月末現在で1026件(前年同期比22%増)、被害額は16.4億円(同28%増)と前年を上回るペースで被害が増加。被害者は65歳以上が約8割、地域別では神戸・阪神地域で約8割、手口では架空料金請求詐欺と還付金詐欺で約7割を占めていることが説明された。
  • 異次元の対策を一丸となって  引き続き今後の取り組み方針を協議し、犯人からのアプローチでは固定電話が約6割と最も多いことから、水際対策として効果がある自動録音機能付電話機を県単独で購入補助(1台当たり1万円)することが報告された(現行:県、市町が各4千円補助)。補助対象は65歳以上、件数は現行の50倍規模の13万台。予算額は13億円。
     また、多様化する特殊詐欺の手口や対策を幅広く周知するため、1年間かけて集中的にキャンペーンを実施するなど普及啓発に2億円を計上する方針が示された。
     村井警察本部長は「組織犯罪の観点から検挙していく。県と連携して力強く進める」と語った。さらに齋藤知事は「特殊詐欺対策の専門官を来年度設置し、オール兵庫で取り組む」と体制を強化する考えを述べた。
     また、自動録音電話機のデモンストレーションも行われた。電話が録音されるアナウンスが流れると犯人がすぐに切る様子や、電話に出た齋藤知事が犯人の要求をきっぱりと断ることをアピールした。