• 「創造的復興」の理念を活かしたウクライナ支援 兵庫県の検討会が初会合  「創造的復興」の理念を活かしたウクライナ支援検討会の初会合が4月21日午後、神戸市中央区の県公館で開かれた。戦時下のウクライナの復興に、阪神・淡路大震災を経験し、創造的復興を掲げて取り組んできた兵庫だからこそできる提言、支援を行うため、県が設置したもの。有識者ら委員9人で構成し、この日の第1回検討会では、東日本大震災で関西広域連合が行った自治体間のカウンターパート方式による支援など、提言、支援の方向性を話し合った。
     開会あいさつで齋藤元彦知事は、「震災だけでなく戦禍からの復興で、『よりよい社会をつくる』創造的復興のコンセプトをウクライナに伝えたい。国と国だけでなく、地域から具体の取り組みを進める。心のケアなどハード・ソフト両面で出来ることを議論したい」と活発な意見を求めた。
     続いて、ゲストスピーカーのセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が講演し、「戦争の終結、つまりロシアが領土から撤退するまでに復興計画が出来ていなければならない。新しいウクライナづくりに皆さんの力を借りたい。復興経験がある兵庫県の協力なくして復興のスピードを早くすることは出来ない」と積極的な支援を期待し、その手法となる兵庫県のカウンターパート自治体の候補として、国内からの避難者が集中し、志願兵も多く、帰還兵や親族らに心のケアが必要とされるイヴァーノフランキーウシク州などを挙げた。
  • 心のケアなどハード・ソフト両面で カウンターパート支援の拡大めざす  同じくゲストスピーカーの五百旗頭真ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長は、「ウクライナ国民のニーズを踏まえた支援でなければならない。小さくても心の琴線にふれるものを」と訴えた。
     議事では、座長にウクライナ研究会会長の岡部芳彦神戸学院大学教授を選任。意見交換では委員、ゲストスピーカーから「持続可能、実行可能なものに」「ウクライナの現地の人と一緒にやること」「民間の力の活用が重要」といった支援のポイントが示された。
     また、「この会議の議事録をウクライナ語に翻訳し、多くの人に読んでもらえば、他のパートナーが増えるのでは」「日本のいろんな自治体に協力を呼びかけるべき」といった支援の輪を広げる取り組みが求められた。
     齋藤知事は、「この取り組みが兵庫から国内、海外へ広がるよう、ウクライナ語や英語でも発信したい。カウンターパートが広がるよう努力する」と意欲を示し、「息の長い支援が必要。短期的、長期的、いろんなテーマで丁寧に議論していく。兵庫県がウクライナと一緒に歩んでいくことを多くの人に知ってほしい。今回、その第一歩を踏み出せた」と総括した。
     今後、創造的復興の経験と課題、基本方針・骨子案などを議論し、12月もしくは1月に提言案・中間とりまとめの報告等を行うシンポジウムを開催。3月に提言案の完成を目指す。