• 県立兵庫津ミュージアムがグランドオープン 「ひょうごはじまり館」開館記念式典を開催  兵庫県の成り立ちや五国の多彩な魅力を発信する拠点施設「県立兵庫津(ひょうごのつ)ミュージアム」。初代県庁があった神戸市兵庫区中之島の兵庫津で整備が進められ、その復元施設「初代県庁館」が昨年11 月に先行開館したのに続き、博物館施設「ひょうごはじまり館」が完成し、11月24 日、グランドオープンした。
     今回開館した「ひょうごはじまり館」は、千年を超える歴史を誇る港・兵庫津や、県成立の歴史、多様性に富む兵庫五国を楽しみながら学べる施設。1階のエントランスホールには、北前船型の行灯が天井に浮かび、足下には兵庫県が設立した1868年の兵庫津を描いた鳥瞰図、正面には五国各地の魅力を見て・触れて・学べる「ひょうご発見広場」が広がる。
     常設展示室に入ると、プロジェクションマッピング×地形模型×映像で兵庫津の地形を立体的に解説。平安時代、平清盛が古代の兵庫津で描いた夢を語り、中世・室町時代に足利義満が行った日明貿易をグラフィックウォールで説明。さらに進むと、北前船模型などにより近世・江戸時代の兵庫津を、そして幕末の兵庫県の誕生と発展について学べるエリアへ。体験コンテンツ「いけすdeタッチ」や古写真に入り込んで撮影できる「ひょうご今昔」なども設置され、兵庫津を舞台とした古代から近代にいたる物語を五感で楽しめる。
     また、兵庫県成立時の激動ドラマを大胆にアレンジしたショートムービー等を上映するダイナミックシアター(横幅13メートル)等も設置されている。
     2階は企画展示室や、兵庫関連図書が充実したライブラリー、3階は研修室などを備える。2階の企画展示室では1月15日まで開館記念展「ドキュメント1868~ひょうごはじまりの時~」を開催。県誕生当時の文書や考古資料などを展示している。
     初代県庁館は、現存する絵図等に基づき時代考証を行い、歴史空間を体感する施設として 復元。庁舎として使用された建物や知事執務室、同心屋敷などをはじめ、初代知事の伊藤俊介(博文)らが登場する兵庫県はじまりの物語のバーチャル体験などもできる。
     一部有料で両館共通で大人300 円(特別展観覧は要別途料金)。休館日は月曜日(週休日の場合は翌日)、年末年始。
  • 兵庫県の成り立ちや五国の多彩な魅力を発信する拠点施設  開館日前日の23日午前には、記念式典が開かれ、関係者ら約100人が出席した。まず、書家の小坂美鈴さんが「HYOGO NEW WAVE」と記念揮ごう。「兵庫県に多くの人が集まって賑わい、幸せに過ごせますように」と込めた思いを語った。続いて地元の明親小学校6年生の児童3人が兵庫区の町並み、兵庫大仏、兵庫運河を描いた絵を手に「歴史と文化、近代的な町並み、バラエティ豊かなところが誇り」「戦災、震災に負けない平和なまちを発信する」「兵庫運河がいつまでも美しくあってほしい」と述べ、「新たな魅力が誕生しました。兵庫津ミュージアム出航します」と宣言した。
     主催者あいさつでは齋藤元彦知事が「30年前に地元の方々が提案し、県市協調事業として進め、この地にグランドオープンすることができた。これから、瀬戸内海、大阪湾が大きな交流フィールドになる。その中心に兵庫がある。この施設を多彩な県の魅力を発信する拠点にする」と呼びかけた。
     神戸市の今西正男副市長は「地域活性化の拠点。周辺整備を加速化させ、多くの人が周遊し、楽しんでもらえるようにしたい」、県議会の小西隆紀議長は「この地から兵庫の魅力を発信、発展させたい」と訴えた。
     そして、丹波流酒造り唄保存会の山崎小夜子さんによる「酛(もと)すり唄」の伴奏で鏡開きを行い開館を祝った。
     続いて、1階ホールの床に「兵庫津鳥瞰図1868」を描いた絵師・青山大介さんが兵庫県が誕生した年の兵庫津を紹介しながら、鳥瞰図を説明した。
     この後、田辺眞人名誉館長の進行で齋藤知事、青山さん、神戸フィルムオフィス代表の松下麻理さんがトークセッション。田辺名誉館長は「歴史好きから、子どもや若者も喜んでもらえる施設。参加型の地域学の博物館といえる」と紹介。式典前に館内を視察した齋藤知事は「兵庫津は大阪湾と瀬戸内だけでなく過去と未来を結びつけるシンボル」と語り、松下さんは「この地域で映画などをロケしてもらえるよう、プロモーションしたい」と意欲を語った。
     また、齋藤知事は「2025年の大阪・関西万博での『ひょうごフィールドパビリオン』の一つとして盛り上げたい。地域の人たちが本気になって取り組んできたエネルギーを万博につなげる」と官民、地域一体の取り組みを強調した。
  • 左手前が「初代県庁館」。右奥が「ひょうごはじまり館」