• 齋藤元彦兵庫県知事が就任1年で会見  8月1日、齋藤元彦知事が就任1年の会見を開いた。「あっという間の1年。やはり、新型コロナウイルス対応が大半を占めた。第5、第6波に対応し、今回の第7波の新規感染者数は1万人を超える。今回の波を乗り越え、感染症防止対策と社会経済活動の両立を図りたい。その意味で、新型コロナとの闘いの1年だった」と振り返り、「その中で、躍動する兵庫をつくる県の方針を示し、いろんな取り組みの種をまいた。令和4年度予算を仕上げ、県職員の持てる力を発揮するため、組織を5部から12部制にした。兵庫の持てるポテンシャルを発揮し、躍動する兵庫に向けた第一歩を踏み出せた」と総括した。
     そして、「人・モノ・投資・情報がもっと集まる兵庫にするために、ひょうごフィールドパビリオンの展開、ベイエリアの活性化など新しい成長の種をまき、兵庫の魅力、ポテンシャル、地域がより輝く取り組みを進めた。安全安心の網をかけるということでは、ヤングケアラーら課題を抱える方への支援、さらに災害、防災対策、インフラ整備などを行った」と1年間の取り組みを挙げた上で、「特に今年1年、大事にしていくのが対話と現場主義。昨年度取り組んだ県政改革の中で、コロナ禍のためコミュニケーションができず、知事の考え、方針が見えづらいとの指摘があった。今年度は現場、市町、議会、経済界、各種団体との緊密なコミュニケーションにしっかりと取り組んできた。齋藤県政、知事の考え、キャラクターについて少しずつ理解をいただけるようになったと思っている。引き続き、県民との連携、コミュニケーションをしっかりとやっていきたい」と2年目の抱負を語った。
     さらに、「いずれにしても任期4年間の4分の1が終了し、2年目に入った。県は広域的業務で、私が抱えているのは中長期的にやっていくこと。成果をしっかり示し、中長期的な施策をじっくりと腰を据えてやっていく中で、10年、20年後、未来の子どもたちが住みやすい、働きやすい、わくわくする地域をつくりたいという思いをもってもらえる未来社会づくりが私の大きな目標。これに向けて引き続き取り組んでいく」と意気込みを述べた。
     質疑応答では、知事選での公約の実現に関する質問が相次いだ。
     「4年間で成し遂げたい政策」についての問いに、公約である大阪・関西万博に向けた取り組みを挙げ、「2025年、3年後の開催へ、県全体を活性化させる仕組みをつくる。終了後のレガシーとして人・モノ・投資が集まる仕組み、そのためのフィールドパビリオン、ベイエリアの活性化、脱炭素社会に向けた新しい成長の種をまき、経済・雇用を活性化させたい」と意気込みを語った。
     そのための課題として、「県民総意の機運づくりが重要。県はその仕組み、ベースとなるものをつくり、参画する仲間づくりに取り組む。機運醸成へのフィールドパビリオンの取り組みが6月からスタートした。地域活性化に取り組む人、誰もが参加できる仕組みにしたい。万博は人類共通の社会課題の解決策を提示する場。万博会場の夢洲での発信も大事だが、県内各地で世界に発信できる取り組みがいっぱいあり、その現場そのものをパビリオンとして発信する。いろんな人が参加できるようにしたい」と説明した。
     これまでに2回実施した公約のワーケーション知事室については、「コロナが落ち着いたら次回は丹波でやりたい。コロナ対応の合間をみて、もっといろんな地域でやりたい」と意欲を示した。
     行革については、「限られた財源の中、時代の流れ、社会の変化に応じて改善するイノベーション型の行革を進める」と述べ、目標として掲げた財政調整基金100億円の積み増しに関しては「現在、30億円前後で少ない。今はコロナで国の交付金を活用している。これからどんなことが起こるか分からない。事業をスタートするための財源として、100億円に増やしたい思いはあるが、想像以上に厳しい。毎年度、決算を行いながら不断の取り組みで結果的に100億円になればと思う」との考えを述べた。
     見直しを表明している県庁舎再整備については「当初、事業費は700億円だったが、今では1000億円くらいになると思う。一旦立ち止まるのもやむを得ない。耐震性の問題は早めに議論したい。改修の度合を含め経費を精査したい」とし、元町周辺再整備については「元町駅のバリアフリーを含め、北側のストロークをどうするかが課題。そのうえで緑や環境への配慮、オフィス機能などをどうするか考えたい」と見解を示した。
     公約で実現の見通しが立っていない30人学級については、「教員の確保などの課題があり、方向性は間違っていないが、今すぐには難しい。一人ひとりに応じたきめ細かな教育をしっかり行いたい」と述べるとともに「高校の環境改善では、まずトイレの改修を加速化したい」とした。
     さらに、働き方改革で「齋藤知事のスタイルが職員に浸透している実感は」との質問に、「浸透しつつあると思う。20年振りに知事が交代し、20代で入庁した職員は40代。新しい知事になって仕事のやり方が違うことになるのは、仕方がないことで、その対応に戸惑いもあったと思う。いろんな組織でも同じだと思う。そのような中で、コミュニケーション、風通しがよくなるように頑張った。特に、知事との打合せの時間は削減した。合理的、無駄を省いてやる仕事のスタイルはだいぶ浸透したのではないか。時間はかかるが更に進めたい」と手応えを語った。
     公約の実現度については、「点数は60~70点。コロナ禍でいろんな地域に出かけ、人との交流が思うようにできなかった。一方で万博への取り組みなど一歩ずつ動きはじめている」と自己採点した。