• 第1回「兵庫・大阪連携会議」  兵庫県の齋藤元彦知事と大阪府の吉村洋文知事が会し、第1回「兵庫・大阪連携会議」が12月26日午後、兵庫県西宮市の新西宮ヨットハーバーで開かれた。2025年の大阪・関西万博をインパクトに、兵庫・大阪がそれぞれの強みを活かし、切磋琢磨、協調しながら連携を深めることで、両府県や関西をはじめ、日本の成長をリードしていくため新たに設置された。
     ハーバー施設を視察したあと、会議に臨み、まず、齋藤知事は「関西から日本の成長をめざし、今回、会議を立ち上げた。2025年の万博に向け、一体となってしっかり歩みたい」と説明。吉村知事は「具体的な施策を府県で打つことはなかった。全国的にも例がない。これからは都市、圏域で選ばれる時代。(大阪・兵庫が)一つの都市、圏域として世界と勝負する。連携して関西経済を強くしていきたい」と訴えた。
  •  関西経済を強化 日本の成長をリード  連携項目案のプレゼンテーションでは、齋藤知事が大阪湾ベイエリアが成長への高いポテンシャルを有していることを強調した上で、①海上交通の充実、②観光連携の強化、③スタートアップの創出・成長支援、④成長産業の育成を挙げた。
     ①海上交通の充実では、「魅力ある航路開拓」「食・エンターテイメント・MICE(会議、イベントなど)等、陸上では体感できない魅力の創出」「大型クルーズ客船に加え、スーパーヨットの誘致」などの取り組みを説明し、実証実験、企業ニーズ調査、国への規制緩和の要望などで連携を求めた。
     ②観光連携の強化では、周遊観光ルートの開発、共同プロモーションの実施等、③スタートアップの創出・成長支援では、施設やプログラムの相互利用などを提案した。
     ④成長産業の育成では、先端医療、水素エネルギー、次世代型の半導体、蓄電池などの分野で、国内外から投資、企業、人材を呼び込むため、両知事による国内外のトップセールスの実施を呼びかけた。
     吉村知事は、①万博をインパクトとした新産業創出・育成に向けた連携、②兵庫・大阪の観光の強みをミックスした連携、③国際金融都市の実現に向けた連携をプレゼンテーションした。
  • 大阪湾ベイエリアのポテンシャル活かす  これを踏まえた意見交換で吉村知事は、「海上交通の具体的なルートを検討したい。淡路島が今、ホットな地域。淡路にも広げたい」、齋藤知事も「淡路に人と投資が流れている。瀬戸内圏域をも巻き込んで大きな視点で進めたい」とビジョンを示した。
     さらに、吉村知事は、「大阪港湾局と県と神戸市が管理する港を統合し、『関西港』として、一元、一体経営をめざすべき。次回の会議では松井大阪市長と久元神戸市長にきてもらって議論してはどうか」と提案した。
     大阪府がめざす国際金融都市については、齋藤知事が「県には海外のビジネスマンらが多く住んでいる。居住環境や教育環境をパッケージで売り込んだ方がいい」と述べ、吉村知事も「海外の金融プレーヤーを呼び込むには住環境は重要。兵庫県とセットでプレゼンテーションすることで相乗効果が生まれる」と応じた。
  • 観光・成長産業の育成、海外トップセールスなどで連携  また、齋藤知事は「県では今、行財政改革を進めている。成長に向けて筋肉質な財政をつくる。大阪とタッグを組むことでコスト面を含め、『ビルド』な行財政運営に効果がある」と期待した。
     最後に、両府県副知事らによる実務レベルの幹事会を設け、担当部局がカウンターパート方式で検討することを確認した。
     終了後の会見で齋藤知事は「これから具体のプロジェクトを進めるため、大きな一歩となった」、吉村知事は「広域連携はこれまで通り、関西広域連合で進める。府県では事業部局も入って連携、実行することに大きな意義がある」と語った。