• 第358回令和4年6月定例兵庫県議会 原油価格・物価高騰で補正予算  経済活動、生活の安定化を支援  値上げラッシュが止まらない。原油価格・物価高騰で、既にコロナ禍で厳しい環境にある家計や中小企業等の事業活動などに影響を与えている。このため、兵庫県は緊急対策として令和4年度6月補正予算案を編成し、6月1日に開会した第358回定例県議会に上程、閉会日の9日、原案通り可決した。予算規模は一般会計で142億5200万円。国の緊急対策を活用し、財源として国庫支出金(約140億円)等を充てた。
     売上が減少した中小法人・個人事業主や、燃油価格高騰の影響を受ける公共交通等事業者、クリーニング店など生活衛生事業者等に一時支援金を支給。農林水産業者に対しても必要な支援を実施する。さらに、県産小麦産地の生産性向上に向けて作付けの団地化や営農技術・機械の導入などを支援する。
     県民生活の安定化に向けては、物価高騰に直面する生活困窮者・子育て世帯・ヤングケアラー・大学生等への支援を強化。また、ふるさと寄附金を活用したウクライナ避難民への生活支援を行う。
     6日には、自由民主党、自民党兵庫、ひょうご県民連合、公明党・県民会議4会派による代表質問が行われた。
     自民・村岡真夕子議員は補正予算による原油価格・物価高騰対策を評価した上で、策定作業を進めている新たな経済・雇用戦略についての見解を求めた。齋藤知事は、「社会経済活動を持続可能なものにする。社会の変化は厳しいが、一方で大きな成長の機会となる。新戦略で人・もの・投資を呼び込む成長の種をまき、力強い経済、安定した雇用を実現する」と述べた。
     自民兵庫・五島壮一郎議員は「値上げが続くと、輸入依存している食品が食卓にのぼらなくなるのではと危惧する。県としても危機感をもって食料安全保障に取り組むべき」と要請した。齋藤知事は小麦の生産拡大への支援、肥料の量の適正化など低コスト体制への転換など、「農林水産業の基幹産業化を力強く推進していくことにより、安定的に食料を提供する環境づくりを進める」と方針を示した。
     また、4月からの本庁12部体制による県政運営について、村岡議員、五島議員、公明・越田浩矢議員が質問。齋藤知事は「補正予算作業では、各部長のマネジメントのもと、事業者や生活者に対する各種の事業が立案され、県独自の支援策を迅速に取りまとめた。職員にはアンテナを高く張って、現場の生きた課題を吸い上げる、指示待ちではなく自ら考え、創意工夫をして対応する、失敗を恐れずにチャレンジすること、を求めている。そうした一人ひとりの姿勢が、兵庫の未来を形づくる。県庁一丸となって躍動する兵庫をめざす」と訴えた。
     県民連合・北上あきひと議員は、コロナ禍における子育て支援事業として、家庭訪問型の取り組みを提案。齋藤知事は、「必要に応じて保健師などの専門家を派遣するアウトリーチ型の支援事業を実施している。訪問相談型を強化したい」と説明した。
     また、齋藤知事が一旦凍結するとした県庁舎建替えを含む元町周辺再整備については、越田議員が質問。齋藤知事は「今年度、神戸市と整備の方向性を検討する。地域住民、関係者等の参画を得た検討会を設置する」と報告、「10年後にアイデアや思いを結実する時間軸を考えている。県庁舎は耐震改修や民間借り上げなどの手法も検討している。50年後、100年後を見据えた元町周辺のグランドデザインを描く」と考えを示した。
     7日には自民、自民兵庫、県民連合、公明、共産の5会派5議員が一般質問。閉会日の9日には正副議長選挙が行われた。
  • 第125代議長に小西隆紀氏、第130代副議長に水田裕一郎氏  定例県議会最終日の9日に行われた正副議長選で、第125代議長に小西隆紀氏(56)(丹波篠山市・当選4回)、第130代副議長に水田裕一郎氏(57)(姫路市・当選3回)、ともに自民所属議員が選任された。
     選挙は議員数82人(欠員4)で行われ、議長選は自民・小西氏76票、共産・ねりき恵子氏5票、無効票1。副議長選は自民・水田氏42票、自民兵庫・北野実氏33票、共産・いそみ恵子氏5票、無効票2票となった。
     副議長選では、自民(30人)が水田氏、自民兵庫(15人)が北野氏を推した。昨年、知事選前哨戦最中の改選では、自民候補に自民兵庫が譲った経緯もあり、調整が注目されたが、不調に終わった。焦点は、県民連合(13人)、公明(12人)、維新(5人)との組み合わせに移ったが、結果、水田氏に軍配が上がった。
     形の上では「自民の独占が続く」こととなったが、実相は全く異にする。自民と自民兵庫の2つの会派が完全に袂を分かった。且つ自民が他会派を巻き込んだ初のケース。さらに「自民以外の3会派間にも不信感が残った」との観測もある。
     また、この間の話し合いでは、改選以降の協力を担保しようとする考えも出されたとされるが、選挙結果によって状況が一変するだけに実行性に疑問符が付されたという。
     いずれにしても、この結果から知事選以来、懸案であった自民2会派の関係修復、会派合同は「遠のいた」として、余波を懸念する向きは少なくない。
     来春の県議選を戦うのは、一つの自民党。過半数確保は避けがたい至上命題。その成就へは難を背負うが、不作為は決して許されないだろう。
    小西隆紀議長・就任挨拶=写真
     ひょうごビジョン2050具体化のスタートの年。県民と共に実現への大きな一歩を踏み出す。コロナ禍により地方への関心は高まっている。丹波篠山市では令和3年の移住者は令和元年の3倍。まさに兵庫五国のポテンシャルを生かして、地域創生を前進させるチャンスの時。地域を代表する県議会議員として地域で何を必要とし、何をすべきか提言し、実現しなければならない。当局と思いを共有し、新たな一歩を踏み出す。県民の負託に応えるため誠心誠意努力する。
    水田裕一郎副議長・就任挨拶
     議会審議の活性化、政策提言機能の強化に努める。議会広報委員長として時代に即した広報活動をはじめ、全ての人に開かれた議会をめざす。小西議長を補佐し、議会の信頼を高め、県民福祉の向上、県政の発展に全身全霊で取り組む。