• 瀬戸内海環境保全特別措置法制定50周年記念式典  「未来へのバトンパス」をテーマに瀬戸内海環境保全特別措置法制定50周年記念式典が11月12日、神戸市中央区の神戸国際会議場で開催された。国会議員・府県市議会議員、行政、漁業等各種団体の代表・関係者や高校・大学生ら約400人が参加し、次代を担う若者たちが環境保全・創造に向けた活動報告を行い、「瀬戸内未来ビジョン」を提言するなど、豊かで美しい里海づくりに一層取り組むことを誓い合った。主催は環境省、瀬戸内海環境保全知事・市長会議、公益社団法人瀬戸内海環境保全協会。当日の模様はオンラインでもライブ配信された。

     午前中は高校生による瀬戸内海をはじめとした環境保全・創造の取り組みのポスターセッションが行われた。兵庫県内外から21校が参加。生徒たちは来場者に活動内容やその成果、課題などを説明し、質問やアドバイスに答えるなど会場は熱気に包まれていた。

     午後からは式典行事が開かれた。まず、滝沢求環境副大臣があいさつに立ち、「瀬戸内海は瀕死の海と呼ばれるほど危機的な状況だったが、沿岸府県の知事、市長が立ち上がり、国会議員に働きかけ、1973年に臨時措置法が制定され、1978年特別措置法に改正された。法による規制に加えて地域住民の努力により、水質は相当改善した。一方で法制定から半世紀を迎え環境は大きく変化し、水産資源への影響が指摘されている水域がある。このため、2021年の法改正では、栄養塩類管理制度等が導入された」と半世紀にわたる歴史を振り返った。その上で、「賑わいと豊かさを実感できる里海づくり、きれいで豊かな瀬戸内海をともに目指したい。本日の式典を機に瀬戸内海の素晴らしさを再認識し、未来へのバトンパスにつなげたい」と開催意義を強調した。
     瀬戸内海環境保全知事・市長会議議長の齋藤元彦兵庫県知事は、「兵庫県内では漁業関係者らとともに海底耕うん、かいぼりなどを行ってきた。そういった内容を昨年11月に開催された全国豊かな海づくり大会兵庫大会で若い世代とともに伝え、豊かな海を次世代につなぐことを全国に発信した。そのような中、本日は先人から若者へ、若者から未来へバトンパスをテーマに掲げ、瀬戸内海の未来のビジョンを提言する。特に若者が学び、発信する機会となったのはとても有意義。法制定50周年を契機として、ともに瀬戸内海を美しく豊かな里海にする取り組みをさらに進めたい」と一層の連携を訴えた。
     来賓の山本順三瀬戸内海再生議員連盟会長は、「法の成果が確実に現れているが、最近では漁獲量が減少するなど、海が変化し始めていることに敏感にならないといけない。若者たちが自分たちで瀬戸内海を守ることが原動力になる。知恵を結集して未来にバトンを渡すことを一緒に考えたい。瀬戸内海を再生させる強い意識をもって一緒に頑張ろう」と呼びかけた。
  • 瀬戸内未来ビジョン  若者たちが提言  続いて、午前中に行われたポスターセッションの表彰式が開かれ、瀬戸内海の海洋ごみ問題の解決に向け、シチズンサイエンスの視点からのアプローチについて発表した山陽学園高校(岡山県)が最優秀賞を受賞。優秀賞には兵庫県立御影高校、大分県立海洋科学高校が選ばれ、同会議議長の齋藤知事が表彰状を贈呈した。

     この後、神戸大学、関西学院大学など7大学の学生4チームが活動発表。中では人と自然の距離を身近にする「瀬戸内プライド」の育成、食文化の発信、瀬戸内300万年の歴史を生かした「北前クルーズ」、癒しの空間をつくり人の心を再生する場所の創出など「瀬戸内未来ビジョン」を提言し、全員で「50年後も世界に誇れる“SETOUCHI”に」とのメッセージを発信した。

     引き続き、大学生、高校生の代表らをパネリストにパネルディスカッションを行った。ポスターセッションで最優秀賞を受賞した山陽学園高校の岡崎華さんは、街中でゴミを発見した情報を提供し、回収してもらうスマホ・アプリを開発したことなどを報告し、「一人の百歩ではなく百人の一歩となる実践、廃棄者の市民が解決者になる実践を」と目標を示した。広島県立広島国泰寺高校の岩山寛大さんは「海や生物に関心をもってもらうことが環境を守ることになる」、兵庫県立尼崎小田高校の田中宋樹さんは「実際に体験してもらうことで海や山の自然を守りたい」と活動に込めた思いを語った。
     神戸大学の澤岡善光さんは「SDGsの先にある瀬戸内がどう発展するかの未来を定めることが必要」、近畿大学大学院の立花佐和子さんは「海産物を食べて愛着をもってもらうことで瀬戸内の暮らしが豊かになる」と述べた。
     環境省水・大気環境局長の土居健太郎氏は「シチズンサイエンスの考えは素晴らしい。中心は市民であり、国内外の課題解決には産官学民の連携が必要。その実践に取り組んでいく」、兵庫県環境部長の菅範昭氏は「豊かさ美しさには色んな意味がある。瀬戸内に文化があってこそ成り立っていると瀬戸内未来ビジョンで示された。その具体化を図りたい」、広島大学名誉教授の松田治氏は「森・川・海をつなげる総合的管理を進め、住民ボトムアップの取り組みが大事。海が良くなるだけでなく、人の生活が良くなるように努力していきたい」とまとめた。