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「兵庫県ヤングケアラー・若者ケアラー相談窓口」開設
兵庫県は6月1日、「県ヤングケアラー・若者ケアラー相談窓口」を神戸市中央区の県福祉センターに開設した。
家族の介護や看護、生活の世話などをする子どもや若者(ケアラー)が近年、社会問題となっていることから、県は昨年9月、ケアラー支援に関する検討委員会を設け、議論を重ねた上で今年2月にケアラー・ヤングケアラー支援推進方策を策定した。
同方策では、18歳未満を「ヤングケアラー」、18歳以上から概ね30歳台前半までを「若者ケアラー」と定義。現状課題として、①周囲も気付きにくく、本人や家族の自覚のないまま表面化せず、必要な支援が行き届いていない、②社会的認知度の向上が重要、③支援につなぐ窓口が明確でなく、福祉、介護、教育関係者の研修も十分でない、ことを挙げ、早期発見・把握、相談支援、福祉サービスへのつなぎ、人材育成・普及啓発、県・市町の役割分担、連携等の取り組みを推進方策として示した。
これを踏まえ、県は令和4年度当初予算で「ヤングケアラー支援体制の構築」として1,270万円を計上。支援グループの活動推進、福祉、介護、医療、教育関係機関の職員等を対象とした研修などとともに、相談窓口を設置することにし、このほど開設するに至った。県内では神戸市等が相談窓口を設けているが、住民に身近な市町に設置を広げるため、県はモデル的に実施し、令和6年度には県内全41市町での相談窓口の開設を成果指標として掲げている。
運営は県から委託を受けた県社会福祉士会が実施。相談受付時間は平日9時30分~16時30分。連絡先は次の通り。
電 話:078-894-3989
E-mail:yc@hacsw.or.jp
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開所式は6月1日午後、同センター5階の県社会福祉士会前で行われ、齋藤元彦知事と同会の谷口弘会長が看板を掲示した。
齋藤知事は「ヤングケアラーは大きな社会課題。いろんな福祉、行政サービスにつなげるため、まず、相談してもらうことが大事。相談しやすい環境づくりを進め、生活サポートをしっかりと行っていく」、谷口会長は「会として支援の充実を県にお願いしたところ、推進方策をまとめられ、相談支援をさせていただくことになった。専門職として相談された方に寄り添って話を聞き、県、市町、関係機関と連携して支援する」とあいさつ。
さらに、齋藤知事は「県として相談窓口をベースに市町の福祉、子育て部局につないでいきたい。相談等からヤングケアラーの状況を把握して対策を講じる。悩みを一人で抱え込まないで、まずは相談してほしい」と今後の取り組みを述べ、谷口会長は「本人からの相談もあると思うが、周囲の大人、民生委員、ボランティアの皆さんなど、いろんなところからの情報が一番必要。回りの人の相談を求めたい」と支援の広がりを呼びかけた。