• 県行財政運営方針の見直しへ県会特別委員会が議論  兵庫県議会の行財政運営調査特別委員会が10月26日午後、県庁で開催された。県は今年度、行財政運営方針の策定から3年目にあたることから、行革条例に基づき、県政全般を検証し、行財政運営の新たな方針を策定する。同委員会はこの審議のため9月定例会で設置され、藤田孝夫議員を委員長、内藤兵衛議員を副委員長に自民5、県民連合、自民兵庫、公明各2、維新1の計12人の委員で構成、共産は委員外委員として1人が加わっている。この日の委員会では、9月にまとめられた見直しの「課題と検討方向」について各委員が意見表明し、県当局の見解をただした。

    行革に対する齋藤新知事のモノサシは

     自民の小西隆紀幹事長は「知事が変わったことによる変化の方向性を早く見極めたいが、これまでと、ほとんど変わっていない。行革に対する新知事のモノサシが大事であり、明確化しなければ戸惑うことになる」と指摘。
     小橋浩一新県政推進室長は「県では、この20年間、行財政構造改革を進めてきた。やり尽くした感や変化がないと言われればそれまでだが、これまでの手法を尊重しつつも、新たな視点、手法で進めたい」と基本姿勢を説明した。

    新しい手法の創出へ県庁改革を

     県庁改革・職員の意識改革について、自民の長岡壯壽議員、北口寛人議員は「新しい政策へ、新しい発想、手法をどう出し、県庁をどう変えるのか」「わくわくする事業を若手職員が提案し、(ボツにすることなく)新しい若い知事で進めていくべき」と見解を求めた。
     有田一成企画財政局長は「これまでから若手職員に政策を提案してもらっていたが、提案が上にいく過程で常識的なものになったかもしれない。部長、局長に新しい発想が求められ、若手職員と新しい施策を検討し、作り込む風通しの良い組織が重要」と認識を述べた。

    「躍動する県政」来年度予算に手法、内容示す

     さらに、片山副知事は「(齋藤知事が就任した)8月1日に革命が起こっていないことは事実。まじめに仕事をする職員に、ちょっとやり方を変える方向にもっていくのが私の仕事。長年やってきたことを一気に変えると足腰がもたない。ただ、変える認識を持つ職員はいるし、知事は新しいことをやってほしいと言っている。変化には時間が必要と理解してほしい」、荒木副知事は「行革は手段であり、どのような県政を進めるのか、来年度予算編成の中で姿を示したい。その際に躍動する県政への重点化や、その手法、内容を示す」と語った。

    「透明性の向上」「県民の肌感覚」「大胆な変化」

     県民連合の上野英一幹事長は「財政指標だけでは状況把握は困難。分かりやすく、透明性を高めて進めてもらいたい」、自民兵庫の内藤兵衛幹事長は「公共施設の維持管理、整備は生活に直結するものだが、県民の満足度は足りない。県民の肌感覚で適正な投資規模について、より丁寧な分析、検討が必要」、公明の伊藤勝正幹事長は「会派では教育事務所の見直しなどを提案してきた。これらを含め、これまでに出来なかった大胆な見直しを」と要請した。
     このほか、「県庁舎建替など大型公共事業のあり方」「民間活力の積極的な導入」「デジタル化の促進」「権限の国から県、県から市町への委譲」などについての意見があった。
     小橋新県政推進室長は「現在の5部体制の県組織で社会の変化に対応しているか、など抜本的に見直す。人材も仕事の進め方も、行政手続きなども新たな視点で見直す」と述べた。

     県は阪神・淡路大震災の影響による財政悪化を立て直すため、平成11年度から行財政構造改革に取り組み、平成20年度には行革条例を制定、新行革プランを策定して構造改革を進め、30年度には収支均衡など財政運営の目標を達成した。しかし、未だ震災関連県債や行革期間中に発行した財源対策債の残高は高い水準にある。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、県の財政状況は引き続き厳しい状況が見込まれている。
     8月に就任した齋藤元彦新知事は、財政再建、持続可能な財政基盤の構築へ、選挙公約では各事業のゼロベースでの検証を掲げ、9月議会での所信表明では「守るべきものはしっかり守り、時代の変化に即して変えるべきところは変える。このことを基本に行財政改革を進める」と基本姿勢を示している。