知事選前哨戦・宝塚市長選―中川市長後継山崎晴恵氏に軍配
維新敗れるも肉薄、勢いを印象付け
惨敗自民、今後に体制再整備を急ぐ
7月18日投票の兵庫県知事選の前哨戦と位置づけられた宝塚市長選で、中川智子市長の事実上の後継者である弁護士の山崎晴恵氏(51)が、維新公認、前県議・門隆志(54)、自民推薦、前県議・森脇保仁(68)、元自治会役員・末永弥生(54)の3氏を破り初当選を果たした。
山崎氏は、中川市長支持層を取り込むとともに、公明・創価学会からも一定の支持を得たと見られ、維新の猛追をかわした。
門氏は、維新の看板をフルに生かした選挙戦を展開した。告示直前に馬場党幹事長が応援に駆け付け、吉村大阪府知事をあしらったビラを配布するなど追い上げた。最終的には、1600票余及ばなかったものの、阪神間における維新の勢いを証明した形となった。
一方、森脇氏は、2位門氏にも1万票以上のリードを許す予想外の敗戦となった。決起集会に下村自民党政調会長をはじめ、国会議員、県議らが駆け付け、また、出陣式では井戸知事がマイクを握るなど組織戦の優位さを見せつけた。
しかし、それが支持には繋がらなかった。選挙通は、いくつかの理由を挙げる。一つは、前回県議選でのしこり。現職の森脇氏は、公明推薦を受けて、大串衆院議員の支援を受ける元市議と市域を二分する戦いを展開したことが尾を引いている、とする。
また、地元である市域西側を固めたものの、東側の抑えが十分でなかったと説明する。さらに、「知事選における県議団分裂劇が影響したのでは」と見る分析もある。
当日のマスコミの出口調査でも、自民支持者の4割近く、あるいはそれ以上が維新に流れたとする数字も出ていることも証左の一つだ。
自民関係者は、維新の市長の誕生は阻止したものの、門氏が山崎氏に肉薄する得票を示したことに強い警戒感を抱いている。今後、衆院選、県議補選(欠員2)に対して、体制の再整備が喫緊の課題とする県連幹部もいる。
維新の門陣営は、「敗れたが、勝ちに等しい」と評価する声も聞かれる。知事選では、斎藤元彦氏に自民と相乗り推薦しているが、室井邦彦兵庫維新の会代表が”維新の候補“を匂わせる発言をし、「本家」アピールしたこともあり、自民VS維新の選挙構図も関心を呼びそうだ。