• 豊かで美しい海づくり県民運動スタート 県民会議が設立  「豊かで美しいひょうごの海」の実現をめざした県民総参加の運動の推進母体となる「ひょうご豊かな海づくり県民会議」の設立総会及び第1回総会が7月27日午後、神戸市中央区の県公館で開催された。齋藤元彦知事、田沼政男県漁業協同組合連合会代表理事会長、橋本正人ひょうご環境創造協会理事長が発起人となり、行政、企業、NPO、水産、環境等の各種団体、教育・研究機関など75団体で発足。昨年11月に開催された全国豊かな海づくり大会兵庫大会の成果を継承し、会員相互の連携強化や情報共有、ネットワークの拡大を図り、豊かで美しい海づくり県民運動を展開する。
     総会で齋藤知事は「全国豊かな海づくり大会では、兵庫県がめざす豊かな海づくりの取り組み、兵庫五国の多彩な魅力を発信するとともに、未来を担う子どもたち、若者たちに貴重な体験をしてもらった。これを契機に県民総参加の豊かな海づくりへと発展させることが大切であり、県民会議の設立はその出発点。それぞれの主体的な活動を集約化し、広げていくプラットフォームとして一層の情報共有、連携強化を図っていきたい」と設立のねらいを訴えた。
     県漁連の田沼会長は「全国の漁業者から評価の声をいただいた全国豊かな海づくり大会の精神をレガシーとして県民に受け継ぐことを多くの方に賛同していただいた。平成27年、令和3年に瀬戸法が改正され海の環境保全は新たな段階に向かっている。私たち漁業者は食糧供給を使命として日々操業しているが、県民が地元の魚を美味しく食べていただくだけでなく、海水浴、散歩など様々な面で海を楽しんでほしい。また、工場、事業所の皆さんも海岸を活用して事業展開をされている。地域の皆さんもボランティアで環境保全に取り組まれている。これからも兵庫の海の恵みを受け継ぎ、豊かで美しい兵庫の海を子どもたちに繋ぐため、一丸となって運動の輪を広げていこう」と呼びかけた。
     議事では、会議規約、令和5年度事業計画及び予算などを承認した。5年度事業としては、11月に「ひょうご豊かな海づくり推進大会」を開催するなど普及啓発活動を実施する。
     また、県は活動の一環として、貧栄養化した海への栄養塩類供給の検討、養殖ノリのブルーカーボンとしての可能性の検討、藻場拡大やプラスチックごみの問題などに取り組む。これらを県民会議で共有し、取り組みの拡大を図る。
  • パネルディスカッションで県民総参加の取り組み議論  総会後には「ひょうごの豊かな海づくり×フィールドパビリオン」をテーマにパネルディスカッションが行われた。坊勢漁業協同組合の上西典幸参事は、家島諸島の坊勢島で実施している「漁業見学&体験ツアー」を紹介した上で、「漁獲量が減って所得が減る。所得が減れば後継者が減る。課題解決のため観光と漁業を組み合わせて所得を増やし、親が子どもに継がせたいと思えるようにしたい」と好循環を目指した取り組みに意欲を示した。
     淡路島観光ホテルの上村早苗代表取締役は、自分で釣った魚を食べてもらう「日本文化×海体験」プログラムが子どもたちに人気なことを報告。「日本文化と海を好きになってもらいたい」と観光業と漁業、地域経済の活性化への熱意を語った。
     県鞄工業組合の足立哲宏副理事長は廃棄物をリサイクルする豊岡鞄の「製作体験×漁網再生SDGs」を説明した。これらの取り組みで地元の鞄業界では若者が増えていることを紹介し、「人材育成に力を入れている。若い人がワクワクする活動をフィールドパビリオンで生かしたい」と意気込みを述べた。
     兵庫県の菅範昭環境部長は「豊かで美しい海づくり県民運動」について、「海側ではない県民にどう参加してもらうかを考えている。海に関係がない県民はいない。ゴミは山から川へ海に流れ着く。その意識を認識してもらうため、フィールドパビリオンの体験活動で海づくりに参加する契機になることを期待している。担い手不足など社会的課題の解決にも繋がれば」と語った。