• 兵庫県・神戸市調整会議  県市協調の理念策定など提案  地方自治法に基づく「兵庫県・神戸市調整会議」が12月10日午後、神戸市役所で開催された。県市協調により、効率的・効果的な施策展開を図るため、知事、市長を筆頭に幹部職員が一堂に会して毎年実施されている。齋藤知事が出席するのは初めてで、コロナ感染症対策をはじめ、2025年の大阪・関西万博も視野にした大阪湾ベイエリアの活性化などについて協議した。意見交換では「新しい県市協調の理念、柱を議論すべき時」との提案もあった。
     冒頭、神戸市の久元市長は「長年にわたる県市協調の取り組みは、齋藤知事の就任で新しい段階を迎えることになる。新しい発想を取り入れ、成果を上げたい」と述べ、齋藤知事は「ウォーターフロントの姿がどんどん変わってきた。久元市長が語る『見違える神戸』になってきている。これを県としても受け継ぎ、神戸以外にも広げたい」と呼びかけた。
     引き継ぎ、感染拡大第6波への備えや、都心・三宮再整備等の協議事項について担当部局長が説明した。これを踏まえての意見交換では、県議会の藤本百男議長が協議事項にあった新神戸トンネル南伸部の整備について、「神戸だけでなく、北播磨地域など県全体にとって有意義。神戸空港、神戸港への利便性が向上する」と実現を望んだ。谷口俊介副議長は「再犯防止に向け、独立した計画の策定を県議会では提案した。神戸市としても積極的に取り組んでもらいたい」と求めた。
     久元市長は、新神戸トンネル南伸部について「国交省にも要望しており、早く具体化したい」、再犯防止については「重要な課題。出所者の就職先の確保、孤立・孤独対策にしっかりと取り組む」と考えを示した。
     神戸市会の坊やすなが議長は「県市協調の基本理念を定め、人口流出、都市再生などの課題に取り組むべき」、沖久正留副議長は「県庁周辺再整備の方向性を早目に示してほしいとの声が地域から出ている」と伝えた。
     齋藤知事は、「県と市が共通理念のもとで各プロジェクトに取り組むことは重要。是非、相談させてほしい」と応じ、県庁周辺再整備については「(県庁南の)元町地域やウォーターフロントなど大きな流れを含めて今、考えている。神戸市と連携したい」と現状を語った。
     新たな発想や技術に基づくイノベーションの創出をめざすスタートアップ企業の支援事業について、久元市長は「力を入れているが成果が上がらない。東京に集中し、大阪、京都に水をあけられている。緊張感をもって進めなければならない」とし、齋藤知事も「本腰を入れてしっかりと取り組む」と応じた。
     また、齋藤知事は「水素エネルギー関係でも連携したい。ハードルは高く、中長期的な取り組みだが、姫路市で動き始めている。神戸市と協力してさらなる動きをつくりたい」と求め、久元市長は「どう裾野を広げるかが課題。県と市で企業参入の機会を増やすことが産業政策の重要な柱」とした。
     さらに、齋藤知事は神戸市のウォーターフロント再開発のノウハウを活用したい意向を示すとともに、コロナ後のインバウンド対策として「神戸空港の国際化も一緒に議論したい」と呼びかけた。