• 令和5年9月第364回定例県議会が開会  令和5年9月第364回定例県議会が9月20日開会し、9月補正予算案、令和4年度決算案などが上程された。会期は10月23日までの34日間。議場棟の耐震性不足が明らかになり、使用ができなくなったことから、今定例会は県庁南側の県公館大会議室での開催。
     上程された補正予算の規模は90.4億円で、うち8月に発生した台風第7号に伴う災害への対応に53.9億円を計上。早期再建に向けた被災者生活支援、中小企業や農林水産業の再生支援、施設等の復旧・復興対策を実施する。7月に南あわじ市の養豚農場で発生した豚熱への対応では7,300万円を計上した。
     県民生活の安全・安心の確保には31.1億円。児童虐待事案のリアルタイム情報共有システムの構築、自転車ヘルメットの着用促進に向けた購入支援、プロスポーツクラブと連携した地域活性化プロジェクト等を実施する。さらに、福島第1原発の処理水海洋放出をきっかけに、魚の買い控えが懸念されることから、県産水産物の消費を喚起する各種キャンペーンも展開する予算も盛り込まれた。また、耐震性不足が判明した県庁1号館等の解体撤去や移転先施設の改修の設計に着手する予算も計上された。
     令和4年度決算案は、社会経済活動の正常化に伴う企業業績の回復により、県税等が過去最高となる一方で、効率的な事業執行等に伴う歳出不用等により、実質収支は令和3年度に引き続き、過去最高の227億9千4百万円となる。国庫返納金など後年度の精算分を除いた実質収支は60億1千2百万円となり、これは平成以降では過去最高。
     また、県の貯金にあたる財政基金残高は、令和5年度末に127億円になる見込みで、100億円を超えるのは震災以降約30年ぶり、齋藤知事が目標額としていた100億円の達成に目処がついた。
     提案説明に立った齋藤知事は、補正予算案などを説明したうえで、「8月1日に知事就任3年目を迎えた。この2年間、新型コロナへの対応や原油・物価高騰対策など、県民の暮らしを守ることを最優先にしつつ、躍動する兵庫の実現に向けた歩みを進めてきた。財政面では県政改革方針にもとづく着実な取組の結果、好調な県税収入にも支えられ、決算の状況は改善し、財政基金残高も増加している。任期の折り返しを迎えた今、引き続き県政改革を着実に進めつつ、『攻めの県政』に踏み出す」と改めて決意を表明した。
  •  また、齋藤知事は、長年、問題視されながらもメスが入っていなかった分収造林事業、企業庁の地域整備事業会計について「残り任期2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進める」と表明、問題に切り込む攻めの県政改革を強調した。
     中で財政状況については、決算の状況は改善する一方、「多額の震災関連県債残高を抱え、依然として厳しい財政状況が続く。先日の県政改革審議会でも厳しい指摘を受けた」と報告。
     公社等については、「第三者委員会による専門的見地からの点検・評価のもと、スピード感を持って見直しに取り組む。とりわけ、ひょうご農林機構の分収造林事業は、包括外部監査で多額の債務超過に陥る可能性が指摘され、検討委員会であり方を検討している。検討結果を踏まえ、現実的な収支見通しに基づき、抜本的な見直しを進める」。
     企業庁の地域整備事業会計については、「今後、本格化する企業債償還を踏まえると資金不足に陥る可能性がある。企業庁経営評価委員会で将来の収支見通しや課題等を明らかにし、事業のあり方を早急に検討する」と説明した。
     その上で「当初の経営見通しが現実的に厳しくなっていることを、より早いタイミングで県民や議会に明示すべきだった。これらの課題を将来に積み残すことなく、残り任期2年間で方向性を定め、抜本的な改革を進める」と語気を強め決意を示した。
     これに先立つ9月12日の会見でも齋藤知事は、「企業債の償還が700億円以上あることは財務諸表を見ればすぐ分かる。本格的に前を向いた県政をしっかりできる基盤になってきたので、残りの任期2年間で、これまで積み残されてきた負の遺産を処理していく」と話していた。