• 令和5年度第1回「県政改革審議会」 目的と手段の見極めを   令和5年度第1回「県政改革審議会」が9月6日午後、神戸市中央区の県公館で開かれた。県政改革条例に基づき設置され、有識者や各種団体の代表者ら15人で構成する。この日の会合では令和4年度の県政改革方針の実施状況や審議会意見案などについて協議した。
     審議会意見案では、財政基金の今年度末の残高見込みが約127億円になる見込みなど、県政改革が成果を上げつつあると評価した。一方で、財政状況は依然として厳しく少子化・人口減少などへの対応は、「兵庫県の今後の道筋を定める極めて重要なものである」と指摘、「対話と現場主義のもと、様々な意見を聴き、課題やニーズを的確に捉えることで、未来につながる兵庫が進むべきシナリオを描いていかれることを期待する」としている。
     開会あいさつで齋藤元彦知事は、財政状況などを説明した上で、「公社・外郭団体の改革も本格的にスタートさせる。人口減少、過疎化など待ったなしの課題もある。いろんな課題に対して前を向いて取り組む攻めの県政を進めていく」と述べ、活発な議論を求めた。
     この後の意見交換で委員からあった主な発言は次の通り。
     「収入の多様な資金調達の中で、ふるさとひょうご寄附金として30の使途を設定しているが、寄附者からするとどれに寄附するか悩ましく感じる。分かりやすい形で寄附できる体制に」
     「人材は大きなキーワード。部を再編し、新たな挑戦をする中で、職員の質が求められている。管理職手当を抑えているのはモチベーションへの影響が懸念される。早急に改善を」
     「賃上げといっている中で、職員の給与カットがいまだに続いていることに驚いた」
     「フィールドパビリオンの中で福祉分野がない。福祉でもフィールドパビリオンにあたいするところがあると思うがなかなかないので、私も検討している」
     「職員出勤率4割を想定した新しい働き方モデルオフィスについて、全国初だが、他の自治体は公共サービスでの実施は難しいから取り組まないともいえる。その点を見失わないでほしい。4割出勤を目的化してはならない。結論ありきではなく、課題を丁寧に分析することが大事」
  • 「将来に負担を残さない覚悟」  「産業界は人手不足が深刻。解消のために多様性を求めなければならない。潜在的に働きたいのに働けない人は多い。一時保育の整備、家事代行サービスへの支援が必要。外国人労働者も家族で来日するので保育の問題が生じる。公民連携で人手不足解決への取り組みをさらに」
     「県立大学の授業料無償化は私学の経営にも関わる。前もって相談してもらいたい。少子化で私学の生徒数が減少する中、大きな投資ができない。県民の25%が私学に通っている。私学についても目を向けてほしい」
     「インフラ整備の使命を全力で建設業界は果たしている。安定した経営のため、引き続き事業費の確保、担い手育成への支援を」
     「分収造林事業については、多額の債務超過が深刻な状況。県財政に重大な影響を与えかねない」と、あらゆる観点からの点検、抜本的見直しなど適切な対応を求めた。

     委員からの意見を踏まえ、会長の上村敏之・関西学院大学経済学部教授は「人口減少、人手不足、物価高などの課題がある」「企業庁、公社などの大きな問題に切り込む攻めの県政を」「今回の会議で感じたのは目的と手段。例えばモデルオフィスは手段。目的に向かって動いているか、その手段があっているか考えることが大事。県民にとって何がベストかの視点で県政を進めてもらいたい」と総括した。
     最後に齋藤知事は「万博を見据えた交流人口の拡大、教育の充実、人手不足への対応、SDGsの推進、若者・Z世代への支援等に取り組む。財政状況は一見するとうまくいっている面もあるが、分収造林など膿が出せなかったものもある。将来に負担を残さない覚悟で取り組む」とさらなる改革への決意を語った。