• 大阪湾海上交通実証実験 神戸港から淡路島へ  兵庫県は6月27日、2025年の大阪・関西万博の開催を見据えた大阪湾ベイエリアの活性化、兵庫五国の魅力向上に向けて、海上交通の実証実験を実施した。齋藤元彦知事ら県関係者、国、大阪府市、県内自治体、観光関係者、大阪湾ベイエリアの活性化等を検討する委員会の委員ら約100人がクルーズ船で神戸から淡路島に向かい、船内で伝統芸能の「能」の体験・鑑賞などを行い、到着後は地域活動の現場等を視察し、若者らと意見交換した。
     昨年11月の神戸~大阪間に次いで2回目の今回は、万博開催時などで兵庫のゲートウェイの一つともなるHAT神戸(震災の教訓、防災文化の発信拠点「人と防災未来センター」、世界的な建築家・安藤忠雄氏設計の県立美術館などが立地)からロイヤル・プリンセス号で出発、神戸港を遊覧し、メリケンパークと神戸ハーバーランドの中間にある中突堤で下船、港からの2次交通を補完する可能性がある新たなモビリティ「電動キックボード」を試乗体験した。兵庫を代表する景観を誇るベイエリアを眺めながらポートタワー(現在工事中)のもとを走った齋藤知事は「風をうけて気持ち良かった。観光地の移動が楽しめそう」と笑顔。
  • 船上で「能」体験  御座船安宅丸に乗り換え、港巡りを楽しむ人たちに手を振って出港。一息ついて西宮能楽堂の皆さんによる「能」の体験・鑑賞会。歴史など基本から、能面の表情の感じ方などの解説を受け、能面つけも参加者の代表が体験。齋藤知事も能面をつけ、周囲を見渡し、角度によって感情が変化する様を演じていた。続いて、「高砂や、この浦舟に帆を上げて」で知られ、淡路島、西宮市「鳴尾」が登場し、古くは「相生松」とも呼ばれていた能の曲「高砂」を皆でうたった。最後に西宮能楽堂の方から「昔は戦乱の世の中。平和への願いが今以上に込められている」との説明を受け、能を鑑賞した。
     終了後、県庁で勤務する中国など4カ国4人の国際交流員に齋藤知事がインタビュー。「感動した」「体験できて身近に感じた」と感想。齋藤知事は「見る人のイマジネーションとか、現代に通じるメッセージ性が入っている。現代版のバーチャル体験。能の中に平和への祈りが入っていることにSDGsに通じる世界的な普遍性を感じた」と語った。
     この後、淡路島内で地域を盛り上げる活動を展開している淡路ラボの学生メンバーらが「裏万博構想」をプレゼンテーション。大阪・関西万博にあわせて全県展開を目指す「ひょうごフィールドパビリオン」を検討する委員からは「わくわくした」「応援したい」などと高評価を得た。
     約1時間半で淡路夢舞台の交流の翼港に到着。淡路ラボの学生の活動現場「千年一酒造」、農業を通じたSDGsの取り組みの視察、県立淡路景観園芸学校で視察先の活動メンバーらと意見交換し、時間が過ぎるのも忘れるほどの盛り上がりをみせた。
     齋藤知事は「単に移動するだけでなく、その間での体験プログラムが船旅だからこそ楽しめると感じた。『知る』『体験』『感動』をパッケージで提供できる手法をさらに考えたい」と手応えを語っていた。