• HYOGOスポーツ新展開検討委員会が初会合 指導者、財源、場所の3点が共通課題  兵庫県は「HYOGOスポーツ新展開検討委員会」を立ち上げ、10月12日午後、神戸市中央区の県公館で第1回委員会を開催した。今年度からスポーツ行政の所管を教育委員会から知事部局に移管し、観光や地域振興施策との連携など、「躍動する兵庫」の実現にスポーツの力を最大限活用する取り組みを進めている。
     そうした中、新たなスポーツ行政の在り方を本格的に検討するため、県出身の元オリンピアンや元プロ選手、学識者、スポーツ関係企業・団体の代表など13人で構成する同委員会を設置した。スポーツが持つ多面的な力を引き出し、県民生活を豊かにし、兵庫経済を拡大させるのが目的。同委員会のもとに①地域スポーツ、②スポーツビジネス、③アスリート育成、④ユニバーサルスポーツの4分科会を設けて議論を深め、今年度中に知事へ提案書を提出する。
     この日の委員会での冒頭、齋藤知事があいさつに立ち、「兵庫のスポーツの新展開に向けた戦略、ビジョンを一緒につくりたい」と活発な議論を呼びかけた。
     意見交換では北京五輪陸上400メートルリレー銀メダルの朝原宣治さん(大阪ガス陸上競技部副部長)が、所属するスポーツクラブの活動を説明した上で、「学校の部活動の地域移行で揺れている。指導者、財源、場所の3つが揃わないとできない。いろんな自治体が悩んでいると思う」と地域スポーツの現状課題を示した。
     粟井一夫・阪神タイガース副社長も「特に場所がない」ことを指摘。元プロテニス選手の沢松奈生子さんは「欧米ではスポーツが生活の一部になっている。兵庫県でも公共の場所を活用し、気軽にスポーツができる環境づくりを」と求めた。
     対して齋藤知事は「指導者、財源、場所の3点が共通課題。県がどうアシストできるかが検討のポイント。空いている公共施設のスペースを開放するなど異分野との組み合わせ、掘り起こしを考えたい」と見解を語った。
  • 誰もが気軽にスポーツを楽しめる環境づくりへ  公共施設の空きスペース活用を検討  また、沢松さんは「引退後の不安を抱えているプロ選手は多い。最近、セカンドキャリアとしてジュニアを育成することがテニスでは増えている。何らかの役職についてもらい、ジュニアの育成に取り組んでもらったらどうか」「アスリートの育成は海外経験が大事。県内には名門校、名門クラブが多いので海外と提携して交換留学的なことができればいいと思う」と提案した。
     重量挙げで五輪3大会連続出場を果たした八木かなえさん(金沢学院大学助教)は、アスリートの育成で県による財政的な支援の大切さなどを訴えた。
     スポーツビジネスについては、「宿泊を伴うスポーツツーリズムの展開」「スポーツの大会やイベントと観光との組み合わせ」といった意見のほか、「スポーツコミッションのような組織が必要」「企業が地域スポーツに貢献するメリットを整理する」との提言もあった。
     パラスポーツについては、増田和茂・県障害者スポーツ協会理事長が「一般の人と一緒に行う仕組みづくりが大切」と述べ、齋藤知事も「県ではユニバーサルツーリズム推進条例を制定し、誰もが旅行しやすい取り組みを進めている。同じコンセプトでスポーツについても障害がある人と一般の人が一緒にできる環境づくりを行いたい」との考えを示した。
     最後に、齋藤知事は「兵庫県はスポーツのフィールドが豊かであり、その資源を生かして新しい形で、気軽にスポーツができる裾野を広げ、それがビジネスになるようにしたい。今日はその第一歩になった」と総括した。